第16回 歯周病と水の関係

3歳以上の犬の80%以上が歯周病を患っていると言われていますが、日々の診療でも多くの犬が受診をしています。

歯周病は歯肉炎や歯周炎の総称でありますが、主な原因は歯垢(プラーク)の中の細菌とされています。

その歯垢は、歯磨き後20分ほどで歯の表面にペリクルという糖タンパク質でできた被膜に微生物が増殖し、そこに6-24時間で細菌と細菌産生物質からできているのが歯垢です。

そして、歯垢に唾液中のミネラル成分が絡み、3-5日で歯石が形成されると言われています。

ちなみに、犬の場合は口腔内環境が人と違い、pHがアルカリ性なので虫歯はほとんどありません。

歯周病は口腔内の疾患だけと考えがちですが、歯周病関連疾患と言われ犬においても心筋の変性や糸球体腎炎など体全体への影響が報告されています。

となると、歯周病や歯石を防ぐことがとても大事ということになります。

どのような予防があるかをご紹介します

  • 食後の歯磨きケア:犬用の歯磨き粉も売られており、また犬用の歯ブラシも出ています。
    実際に犬の口は犬種にもより様々ですが、歯周病が問題になるのは小型犬が多く、口が小さいため先が小さい歯ブラシを使用します。
  • 飲水:水を飲むことによって口の中の洗浄を行い、細菌増殖などを防ぐとともに食渣などを取り除きます。
    さらには、水に混ぜる歯磨きケア用品も販売されています。
  • 犬用ガム:ガムを噛ませることで、唾液をより産生させて浄化させます。
    ただ与えるのではなく、噛ませることがとても大事です。
  • 口腔内スプレー:口の中に直接かけるスプレーです。これで歯石が取れたり、歯周病が治るわけではありませんが、ケアに繋がります。

このような様々なケア用品を使用し、口腔内を綺麗に保ちましょう。